…バレてた。ふっと、フロアの奥の電気が消えて、人の気配がなくなる。あたしを挑発するような意地悪な視線は、もはや爽やかとかじゃなく男の表情(カオ)で。あたしを更に翻弄する。心臓の鼓動が速まって、頬が熱くなる。体の奥深くで、何かがジンと疼く。隠しようがなくて、観念して彼を見上げれば。「そーゆー顔、そそられるな。」大きくて綺麗な指に優しく顎を掬われて、彼の唇が、あたしのそれに重なる。・・・今夜もあたしは、大好きな首元に、キスをする。
汗ばんだ彼から香る、煙草とコロンの混じった香り。横目で見上げれば、目の前のワイシャツの隙間から、綺麗な鎖骨が見えて、彼に抱かれた夜がフラッシュバックする。・・・その鎖骨に指を這わせ、キスしたい。そんな妄想するも、束の間。「ん。出来た。」ホントにすぐ訂正出来たらしく、見ていたことがバレたのではないかと、ヒヤヒヤしながら、軽く咳払いをひとつ。「主任、熱いからって、開けすぎですよ?」首元から目をそらして、訂正箇所を保存していると、「ずっと見てたくせに?」人の疎らな社内、誰にも気付かれないように、そっと。耳元で、熱を帯びた甘い声。
椅子に座ると、「今日は蒸すなー・・」なんて言いながら、ネクタイを外してワイシャツのボタンを外し、襟をパタパタする。その仕草と、ワイシャツから見え隠れする首元から、つい目が離せない。誠実で爽やかなイメージの彼の、首筋から鎖骨のラインが、好き。昼間は決して解かないネクタイ。この時間帯だから垣間見ることができる、彼の男っぽいセクシーなライン。そのギャップに、あたしは欲情する。・・・いつの間にか、PCを操作している彼から、「昼間の会議の報告書、今開いてるだろ?」と、仕事の話。「あ、はい。訂正ですか?」慌てて返事をする。「ん。すぐ済むから、ちょっと貸して?」すぐ隣にやってきて、屈んでキーボードを叩く彼。
今日土岐のご自宅でお会いしたH様ありがとうございました。優しくしていただき嬉しかったです。残念な結果で申し訳なかったです。是非リベンジさせてくださいね。またお会いできるのを楽しみにしております。なおみ??