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なおみ(多治見)
彼のネクタイの、その下に
10月28日 16:51
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 エロイネ [0]
時計の針が9時を指す。

節電対策のフロアには、奥にに灯りが見えるだけ。

今日はわざと残業した。
彼が、まだ戻っていなかったから。


「戻りました〜。」


そう言って、あたしの左隣、こちらにデスクを向けている席に、主が帰ってくる。


「主任、おかえりなさい。お疲れ様です。」


声をかけると、一瞬、優しい視線とぶつかって。


「まだいたのか、佐々木もお疲れ。」


長すぎない、サラサラの黒い髪。
くっきり二重の、意思の強そうな目元。

その爽やかな笑顔は、社内の女子を虜にする。

なおみ(多治見)
罪づくり
10月23日 22:05
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 エロイネ [2]
店長が目を閉じたまま微笑んだ。
 これも反則。私が今までどんな気持ちで店長を見てきたと思っているんですか。
 安心しきって眠っているかのような表情に、ふいに店長の前髪に触れてみたいと思った。

「眠ったんですか?店長」

 返事はない。寝ちゃったのかな。それなら髪に触れても気付かないかな。触れたい情動に駆られて、手を伸ばす。

「触れたら俺の忍耐も限界だぞ」

 目を閉じたまま、店長が言った。驚いて手を止めると、目を開けた店長が私を見上げた。

「オマエの男が来ても、帰さないからな」

 初めてオマエと呼ばれた。店長が体を起こして、伏し目がちに笑う。

「いつもそう言いそうになっては抑えてたのに、気付いてないんだもんな。罪づくりな奴だよ、まったく」

 ネクタイを緩め、溜め息を漏らす店長の顔をじっと見つめた。

「そんな風に見るな」

 私だっていつも抑えていた。でも、もう無理。右手を伸ばし、店長の前髪に触れた。

なおみ(多治見)
罪づくり
10月23日 21:00
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 エロイネ [0]
「いえ、あまり売り上げに貢献できなくてすみません」

「そんなに構えないでいいよ。俺、牧野とは五歳しか違わないし。店長も今の店が初めてだから頼りないよな」

「そんなことないです。いつも着こなしも素敵ですし、紳士服店の店長らしさが出ていると思います」

 店長はきょとんとして、自分の服装を見直し、「一応、マネキンも兼ねているからさ」と、営業用とは全然違う気を許す笑顔を見せた。
 その笑顔は反則だ。ドキドキが止まらなくなる。店長は私の隣に深く腰を落とし、椅子の背もたれに頭を預けた。

「飲み過ぎたかな、俺」

「ここで少し座っていたほうがいいかも……です」

「隠しててくれるか?」

「はい」

なおみ(多治見)
罪づくり
10月23日 19:05
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 エロイネ [1]
初売りを終えて、今夜は店のメンバーで新年会を兼ねた飲み会。

 売り上げはあまり良くなかったみたい。今日の閉店後、掃除をしている時に事務所を覗くと、パソコンの画面の前で項垂れている店長の姿を見てしまった。それなのに、場の雰囲気を崩さぬよう、店長はいつもより笑顔で飲んでいる。社員一人一人に言葉を掛け、何度も乾杯し合っている。

「お疲れ」

「お疲れ様です」

 一番若手の私の席にまで足を運んでくれた店長。

「牧野、今日はレジと接客で、休む暇がなかっただろ。悪いな」

なおみ(多治見)
コロはきっと誰かに飼われ幸せな老後を暮らしている
10月20日 19:20
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 エロイネ [1]
俺が小学生の頃、夜だけ、家に、寝に来るコロって呼んでた野良犬がいたよ。

家は団地だったので、俺と母ちゃんが動物好きだったけど我慢してたんだ。

共働きだし、家に閉じ込めておくのは可哀想だしね。

賢い犬でさ、朝は俺と一緒に学校まで行ってた。

紐はつけない。



教室から試しに呼んでみたら(授業中)、見事に来たことあったからびっくりした事もあった。

その後は夕方まで、勝手に遊んでたみたい。

ちゃんと帰ってくるからね、寝るために。

しかも、俺ん家は5階で、周りは似たような建物、入口ばっかなんだけどわかるみたいなんだよね。

家に誰もいなくてもドアの前で待ってた。(きっと隣の人とかは迷惑したろうな)

いろんな家で、世話になってたみたいで違う名前で呼ばれてるのを見たこともある。

でも夜には帰ってくるから、きっと家の事を気に入ってくれてたんだと思うな。

コロが、急に来なくなった。

とても心配して、何日も俺は探し回ったんだけど見つからなかった。

母も俺も、きっと誰かちゃんと飼ってくれるいい人につれてかれたんだよと諦めた。

それから、10年以上も経ったある日。

俺ん家はめでたく一軒家に引っ越していたのだが、この間、母ちゃんが団地で仲のよかったおばちゃんとお茶したときに聞いた話。

そのおばちゃんはコロの行方を人づてにきいたらしい。

どうも、団地の近くの広い道路で車に轢かれて、逝ってしまったとの事。

コロは賢い犬で車に轢かれるような犬じゃなかった。

どうやらその道路の反対側、ちょっと遠くに、俺がいたらしいんだ。

コロは、俺を見つけて、飛び出したのかもしれない。

アイツは、いつも俺を見つけると喜んで飛んできて遠くからでも体当たりかましてくる奴だったんだ。

今でも俺は、コロはきっと誰かに飼われ、幸せに老後を暮らしてると信じてる。

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